市原市北部の古墳

 市原市の北部は菊間国の本拠地と推定されている。ここには菊間国造の墓所と考えられる,前方後円墳3基,円墳1基がある。隣接する大厩地区には前方後円墳である大厩二子塚古墳もある。

●コース

 村田川下流域左岸の台地先端部を中心とする地域は菊間と呼ばれて,前方後円墳4基,円墳14基,方墳2基が認められ,前方後円墳が集中することなどから菊間国の本拠地と推定されている。ここには4世紀後半代の新皇塚古墳に続いて,北野天神山古墳(権現山古墳)や東関山古墳,さらに姫宮古墳など前方後円墳が造られた。菊間天神山古墳は,東関山古墳の後,5世紀後半に造られたもので,埴輪をもつ。この内,新皇塚古墳を除いて,見学することができる。
 菊間国造の治めた地域は村田川下流域から中流域まで及ぶ。隣接する大厩地区には,新皇塚古墳とほぼ同時期の大厩浅間様古墳(墳丘径52mの円墳),やや後れて造られた大厩二子塚古墳(全長63mの前方後円墳)などからなる大厩古墳群がある。
 なお,このコースにはトイレ,駐車場はない。食事は駅周辺ですましたほうがよい。

姫宮古墳

 JR八幡宿駅から小湊バスで菊間団地行き菊間第2で下車。県営菊間団地に向かって,徒歩5分(200m)。姫宮公園の左手台地上。(1)晴天の場合,姫宮公園の南側急崖にある踏み分け道を登る。(2)雨天の場合,姫宮公園の角を左折し,坂道を上り,約5分(200m),右折して,暫く行った右手の民家越しに見える小山が姫宮古墳。姫宮古墳は,市原台地先端部に位置する全長47mの前方後円墳。主軸を北西−南東にとる。前方部前面に説明板がある。団地側にはフェンスが巡る。市原市指定史跡。(P. WC. なし)

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道路から古墳に行くには私道を通ることになるので,できるだけさけたい。道幅が狭いので,通行には注意を要する。バス停から徒歩約15分。眼下には村田川とその支流によって形成された沖積平野が見渡せる。また,水田越しに,遥かにおゆみ団地の変貌が一望できる。


姫宮古墳 前方後円墳◆6世紀◆所在地 市原市菊間2049番地◆全長47m◆方位 ほぼNNW◆前方部幅21m 高さ4m◆後円部径20m 高さ5m◆備考 菊間5号墳 1972年市指定




姫宮古墳

北野天神山古墳(権現山古墳)

 姫宮古墳から西に直線100m,同じ台地上にある。墳頂部に天神様が祠られていることからこのように呼ばれている。本古墳群最大規模と推定される前方後円墳であるが,現在は後円部の一部が残るのみで改変が著しい。鳥居を出た角に標柱がある。北野天神山古墳は,主軸を南東−北西に配し,全長は約90mに復元される。前方部の発達した古墳の形態から5世紀末葉頃のこの地の首長墓と推定されている。周囲は宅地・畑地となっている。(P. WC. なし)

北野天神山古墳 前方後円墳◆5世紀末◆所在地 市原市菊間1975番地◆全長90m(推定)◆方位 ほぼSE◆後円部径45m 高さ8m◆出土品 埴輪(円筒),須恵器◆備考 権現山・菊間3号墳




北野天神山古墳

城山1号墳石室(復元)

 北野天神山古墳に近接する。これは全長約61mの前方後円墳で,前方部が北西を向き,北野天神山古墳とは反対向き。遺存状況は良好で,前方後円墳の形状がよく分かる。菊間古墳群の中で最も見学しやすい古墳である。北野天神山古墳よりやや遅れた5世紀後半の首長墓と推定されている。古墳の北から東側の裾部が道路によって削られている。また,西側には民家があり,裾部に接して道路が建設されている。後円部には小さな祠と鳥居がある。雑木地となっているが,下草を刈るなど整備も図られて,標柱もある。平成5年度に市原市教育委員会が発掘調査を実施しており,幅10m,深さ2mの周溝が確認されている。(P. WC. なし)

東関山古墳 前方後円墳◆5世紀後半◆所在地 市原市菊間2752番地◆全長61m◆方位 ほぼNNW◆前方部幅28m 高さ6m◆後円部径33m 高さ6m◆備考 菊間4号墳

 

東関山古墳

菊間天神山古墳

 東関山古墳前方部コーナーを巻くように左手に進むと,幅広い道路にでる。これを右に約150mほど行くと,グランドに出る。これにそって細い道路を登る。 菊間天神山古墳は,菊間古墳群では埴輪をもつ円墳のうち最大規模の径約40mを誇る。古墳の西側から北側の周溝部が削られている。また,北側から南側にかけて墳丘をさけるように道路がある。墳頂部には祠があり,その参道が南西側にある。古墳は雑木地となって荒れているので,足元には要注意。説明板はない。昭和47年7月20日,市原市指定史跡。(P. WC. なし)
 菊間天神山古墳からの帰路は東関山古墳に戻り,宅地の中の道を菊間コミュニティーセンター,菊間中学校を目標にして東方向に進み,菊間通りに出る。このまま帰途につく場合は小湊バスを利用する。

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台地上からは市原市公共下水道菊間終末処理場の建物や東関東自動車道,さらに市原市市街地を望むことができる。眼下は市原条里制遺跡である。


菊間天神山古墳 円墳◆5世紀末◆所在地 市原市菊間2196番地◆全長40m◆備考 手永貝塚に隣接


 

菊間天神山古墳

大厩二子塚古墳

 菊間中学校体育館の反対側,菊間通りから幅狭い坂道を登り,約500m。住宅地の中を進み,左手の雑木地に古墳がある。菊間古墳群とは谷を挟んだ隣接した台地上。道路は狭いので通行に注意を要する。
 大厩古墳群に含まれた全長約63mの前方後円墳。古墳の西側から南側の前方部裾部の一部が宅地によって削られているが,保存状況は良好である。後円部の南東部は谷に面しており,墳裾部ははっきりしない。墳頂部に祠,参道がある。墳裾部に標柱がある。(P. WC. なし)
 帰途は来た道を戻り,小湊バスでJR八幡宿駅行きに乗車。

大厩二子塚古墳 前方後円◆4世紀後半◆所在地 市原市菊間1178番地◆全長63m◆方位 ほぼSW◆前方部幅25.6m 高さ4.5m◆後円部径37.5m 高さ7.5m


寄り道

●車で来た方は,おゆみ野団地やちはら台団地内に,草刈古墳群や千葉市有吉南貝塚,千葉市椎名崎古墳群などが公園として整備されているのでぜひ見学されたい。整備中の遺跡もあるので,千葉市文化課(043−245−5962)に問い合わせされたい。 
●草刈古墳群 千葉急行線ちはら台駅から徒歩約5分。駅前を右折し,交差点の左手台地上に草刈古墳群がある。全長50mの前方後円墳を中心として古墳15基からなる。ちはら台団地内の都市公園として整備中であり,眼下には村田川の水田が一望できる。(P. WC. なし)

 

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